【9機種クロスレビュー!】5人で6インチ以下のガチで制作に使えるモニタースピーカーを探しにいきました。

【9機種クロスレビュー!】5人で6インチ以下のガチで制作に使えるモニタースピーカーを探しにいきました。

モニタースピーカーに何を選べばいいのか・・・?
それはエンジニアだけではなく、作曲、アレンジ、プロデューサー、どの人も大いに悩む問題だと思います。

防音施工をしているほど、気合の入っている人なら、色々とスピーカーの選択肢はあるかもしれませんが、ほとんどの人は、そんな大音量を出したら近隣の方から怒られてしまいますよね汗

そこで、今回は、実際に自宅で導入するのにあたって現実的なサイズ・・・。

「6インチのサイズ以下」に絞ってモニタースピーカーをみんなで試聴してきました。

会場とスピーカーについてはRock ONさんにお世話になりまして、みんなで真剣に聞いた結果になります。

スピーカーはどれならば正解!というものは目的次第ではありますが、皆さんのスピーカー選びを少しでも後押しできたら幸いです。

今回試聴してきた機種は以下の通りです。

IK multimedia iLound MTM

KS-digital C5

Focal Shape 50

Genelec 8030

Phonon ML-2

Neumann KH80 DSP

Yamaha HS5

Fostex NF-04R

Musikelectronics RL906

レビューをはじめる前に、まずは皆さんがモニタースピーカーについて、どう思っているか、どういう基準で判断をしているかについて伺っていきましょう。

今回のメンバーはStudioMASSから

MasaokiMoroishi(@B_sabbath_B)

Sakeiくん(@xxsakeixx)

Shuyamさん(@_shuyam)

そして、仕事仲間であり、第一線で活躍し続けるS氏。

いつも一緒に制作をさせていただいている今回唯一の作家のkatzさん(@icmrkatz)。

以上の5名でのクロスレビューでお送りします!

モニタースピーカーに求めることは何か?

僕はマスタリングを仕事にしているので、モニタースピーカーに求めることは、シビアさと実直さです。
それはつまり、
・パッと聞いたときに音源がブライトなのか、ダークなのかがわかること
・ブライトな音源がしっかりと耳が痛いと感じられること。
・ローが強すぎる音源が暗く表現されること
・奥行きの表現がみえやすいこと
・再生できない周波数レンジを再生しようとしないこと

この5つに集約されます。

自分はミキシングエンジニアなので以下の事を求めます。
・音源ソースに対して処理しなければならない問題点が確認できる。
(各楽器の不要な帯域、マスキングしている帯域を確認できる)
・ミックスバランスの確認ができる。
(ミックスバランスの良いものは良く、悪いものは悪く再生される)
・空間の確認ができる。
(リバーブ感、定位、を確認することができる)
・再生音量でミックスバランスが変わらない
(大音量、小音量問わず再生した際にミックスバランスの変化が少ない)

僕はバンドのマスタリングを中心に時々ミックスも行うのですが、どちらにしても「音を聴いてすぐに手を動かしたくなるかどうか」で判断しています。
モチベーション的な意味ではなく、次に何をしたらいいのかすぐに判断できるスピーカーという意味です。
低域なのか高域なのか、音像なのか広がり感や定位なのか、ダイナミクスなのか歪みなのか、スピーカーによって何が把握しやすいかは変わってくると思います。全ての点で把握しやすいスピーカーがあればベストですが、最終的には自分好みの優先順位で選ぶことになると思います。
僕の場合、厳密に優先順位があるわけではないのですが、ミックスなら各楽器毎の周波数的な居場所が分かるか、ダイナミクスが分かるかが特に重要で、マスタリングなら耳障りなピークの有無や全体感のようなものが分かるかどうかが重要です。

・良い曲は良く、悪い曲は悪く聞こえるか。
・全周波数がシビアに聞こえるか=EQした時の結果が手に取るようにわかるか
・ダイナミクスの表現が豊かか
・持ち運びしやすいか
・コストパフォーマンスに優れているか(基本的に1つだけのスピーカーで作業することはあり得ないので、
複数台買うことを前提で考えているため)
・小音量でも大音量でも聞こえが変わらないかどうか
・商業スタジオに大抵置かれている10MとATC 12との違いがあるかどうか。
・ボーカルレコーディング時の想定で、ボーカルの表情が読み取りやすいか(ディレクションしやすいか)
・リバーブやアンビエンスマイクの空間が読み取りやすいかどうか

・作曲中のモチベーションを保てる自分好みの出音であるか。
・録音時のミステイクの判別ができるか。
・僕は自身の楽曲で過剰にダウンチューニングをしたギターを使用することがあるので緩まった弦の音の輪郭をキープできているか。
・幅広いジャンルの楽曲を再現できるレンジの広さ
・値段、コストパフォーマンスの良さ

どうやってスピーカーを判断しているか?

・自分が使っているリファレンス音源がどのぐらい素晴らしく再生されるか?
・リファレンス音源の欠点がどのぐらい明瞭に表現されるのか?
・現代のポップサウンド、ヒップホップ以降の低音にどこまで対応することができるのか?

この3つが僕の判断基準です。

リファレンス楽曲を自分がいつもミキシング作業で鳴らしている音量まで上げて、自分のりそうのミックスバランスで再生されているかで判断しています。

安心して作業できるかという点です。このスピーカーで聴いてOKだったらAirPodsで聴いてもiPhoneで鳴らしてもOKみたいなことです。実際にそのスピーカーで作業してみないと分からない部分でもありますが、上で書いた基準でスピーカーを判断していれば大体予想通りになるのかなという印象を持っています。あとは手頃な値段だと嬉しいです笑

・リファレンス音源を流して判断する。
大音量から聞こえる限界の小音量まで変化させながら聞いて、どの音量の時にどのような駆動をするか聞く。
・ミックスしてみる。
時間があれば実際にパラデータを持ち込んでエディットミックスをしてみる。
下手な演奏や良くない音がしっかりシビアに聞こえるかどうか。
EQ・コンプによる変化はみやすいかなどを判断する。

今回僕は作曲者としての視点でレビューさせていただこうと思います。
・どれくらいのレンジの広さで音源を再生できているか
・作曲者として自分が得意とするジャンル、多用する音色がいかに格好良く聴こえてくるか

6インチ以下のモニタースピーカー9機種ガチレビュー

IK multimedia iLound MTM

最近のBluetoothスピーカーっぽい鳴りで、リアルに皆が意識せずに聞いている音に近い印象を受けました。
ダイナミクス表現は他のスピーカーに譲る部分はありますが、その分サイズ感に対して周波数レンジがみえやすい印象です。
ルームコレクション機能は結果的にはOFFにすることが多そうでした。
全体的に前面に押し出し感がある音なので、コンプレスされたサウンドを嫌味なく鳴らしてくれます。
J-POPプロダクションに非常に向いている印象です。全体の印象を判断するという意味においてはマスタリングでも使いやすいスピーカーであるように感じました。

高音域の伸びは申し分なく中音域もバランス良く鳴っている印象でした。
低音域が気持ちよく鳴るので楽曲制作など気持ちよく行えると思います。
低音域がよく鳴るのでクセを理解すれば問題なくミックス作業も行えると感じました。

このサイズとは思えないほどローがちゃんと出ていて驚きました。聴いていて気持ちのいい音で、ダンス系や重心の低い音楽と特に相性がいいと思います。その分、周波数的な味付けが濃く音像が細い?印象はあるので、僕がミックス(特に生録系のミックス)に使用するのは少しコツが必要かなと感じました。用途としては、ITBで完結するクラブ系のトラックのマスタリングなどに向いているのかなと思います。

価格・サイズからすると、周波数レンジが優秀。
しかしダイナミックレンジが極端に狭く、位相も良くない(焦点が合わない)
EQはしやすいが、コンプはかけにくいだとろうと思う。
ハイミドルの帯域に限界があり、音量を突っ込んでいくとコーっと本体が鳴り始める。
キャリブレーションをONにするとさらにダイナミックレンジが狭くなる。
ローが中心の音楽は得意だから周波数レンジの豊かな音源は苦手。
ベースが中心となるEDMは得意、だがそこに歌が入ると苦手そう

サイズ感に対してパワフルな出音でびっくりしました。
EDM系音源ではしっかり重低音のパンチを効かせてくれているので作曲していてテンションが上がるだろうなと感じました。
逆にバンド系サウンドであえて使う必要は無いかなと思います。少し詰め込まれたような窮屈な印象でした。

KS-digital C5

一聴して、同軸らしいスピーカーであるように感じました。
定位の見渡せ感が素晴らしく、ミックス向きのスピーカーであるように感じます。
ものすごく細かいところまで表現できるAuratoneという印象でした。
奥行き表現がはっきりみえて、しかもDSPらしさを感じない。
そういう意味ではアコースティックな同軸を小口径で突き詰めた仕上がりと言えるでしょう。
実物を見てみると意外にもサイズがあったのも印象的でした笑

iLoudよりも自然な味付けでバランスが良く、Focal Shape 50よりも量感があり使いやすい印象です。少しオーディオよりの鳴り方をするスピーカーだなと感じましたが、ミックス・マスタリングともに使えると思います。

第一印象で上品なスタジオユースのクオリティを保てている良いモニターだと感じた。
しかし低域(特に90Hz以下)が出すぎる。音量的にというか、
グググっとユニットが前に出まくって他の帯域が鳴りきらない原因になる。
IKと同じくEQはしやすいがコンプはしづらい。リバーブは見えやすい。
しっかり上から下まで鳴っているのでauratoneの代わりにはならないが
そもそも設計から求めているものが違っているな印象。
後ろのツマミは今回いじれなかったが、ローを少し削ってあげると完璧なバランスが完成しそう。

音の広がりが素晴らしかったです。
繊細な音に包み込まれるような感覚に陥りました。
アコースティックな音色と相性がいいと思います。
ギターの弦のタッチ音を感じられるような雰囲気から演出してくれるような温かみのあるスピーカーでした。

Focal Shape 50

これは、作家さん向きであると思います。
気持ちよく次々に音を重ねていきたい人にはうってつけですね!
口径に対して、ローの駆動感がみえやすく楽しく制作ができそうです。

よくも悪くも甘口で、再生環境を選ばないSPである印象でした。
お値段もお手頃で、この値段でこの再生力は相当コストパフォーマンス高いように感じます。

良くも悪くも特徴のない鳴り方をするスピーカーだと思いました。パッと聴いた感じでは中域が中心に鳴っていて、ミックス・マスタリング用途というよりも制作時に使用するのに適しているなと思いました。

ハイエンド・ローエンドがすっぱり無い。
そしてローミドルが出過ぎる。後ろのツマミをどう調整してもその特性は変わらなかった。
棹物で作曲を始める方は製作していて気持ち良いのかなとは思う。
パッシブラジエーターが部屋や置き場所によっては悪さしそうな印象。
どの音量にしても音像自体は遠くならないので、トランジェントはぬるくない。

僕は作曲時にFocalのヘッドホンListen Professionalを使用しているのでFocalのスピーカーにも興味がありました。
試聴してみた感想としてはスッキリ聴こえるかつ弦楽器の倍音がキラッとしている第一印象でした。
ですが他のエンジニアさん達が仰っている通りローハイエンドが抜け落ちている感は否めませんでした。
サブベース等を使用した重低音を活かした楽曲では少し物足りなさを感じました。

Genelec 8030

よく聞いてきたGenelecの音ですね。
プレゼンスの張り出し感が強く、よくスタジオできくモニターライクなサウンド、といったところでしょうか。奥行き表現は苦手であるものの、どこにどういう音があるかがわかりやすいように感じます。
900STが定番であるように、このシリーズが定番である理由もそこにあるのかな・・といった印象でした。

まさしくジェネレックという音で、歌が前に出るプレゼンス感と独特な中域の丸みがあります。
このサイズなので音量を入れると低域に少し無理している感じがありますが、制作には使いやすそうだなという印象を受けました。

Genelecカラーの上下を強調した音。
ローは入力段でブーストをかけたような妙なトランジェントになり、ハイは耳に張り付く部分が誇張される。
実際商業スタジオではすでにそのような用途で使われているが、とにかく派手に聞こえるので、クライアントを黙らせたい場合には抜群。
電子楽器やリズムの打ち込みから制作を始める人は気持ちよく進められると思う。
ハイが痛い音源が、痛く聞こえないので、pultec系のEQをかける場合はかなり注意が必要。

僕の周りの作家さんのシェアが多く以前から気になっていました。
実際に聴いてみるとドンシャリ系の聴覚的にパワーを感じられるようなサウンドとの相性はやはり良いと思います。
EDM、ベースミュージックにも向いています
兼ねてiLoudよりもバンドサウンドに強い印象でラウド系バンドサウンドを扱う作家さんのシェアが多いのも納得でした。

Phonon ML-2

フルレンジ、ラジカセ枠です。
Sonyの名機、ZS-M5を歪に対してさらにシビアにしたモデル、といったところですね。
中域にフォーカスを絞ることで、音量感と奥行き感を厳しくチェックをしていくことができそうです。
ボーカルオートメーションを書くときや、音源のバランスチェックをするときにうまく活用していけそうです。ミキサーを生業にされる方は一度聞いてみる価値はあると思いますよ。
特に小音量で作業をされる方は、バッチリかなと。

このスピーカーはバランスの悪いミックスはとても悪く再生され、バランスの良いミックスはとても良く再生されるとてもシビアな印象でした。
他のスピーカーほどレンジが広いわけではありませんが、ミックスバランスの確認にはとてもよいと感じました。

高級ラジカセ的な立ち位置のスピーカーで、音の最終チェックに便利そうだなと思いました。左右のコーンの距離が固定されているのでリスニングスポットも近い部分に限られますが、小さい音量ならバランスも良くかなり繊細に表現してくれるため、マスタリング後のセカンドチェックとして機能すると思います。ミックスは少し厳しいかなーと。

ラジカセと考えるとバランスの良いスピーカー。
ローエンドがすっぱり切れているわけでもなく、ベースの出ている音源ではボーカルの動きも少し見えづらい。
これであればもう少しチープな上下が切れたラジカセをわざと導入すると思う。

Neumann KH80 DSP

今回、一番驚かされたスピーカーです。
小型サイズであるにも関わらず、ラージスピーカーと同じニュアンスを感じます。
しかしながら、ラージよりもずっとシビアです。
レンジが広く、フラット、そして積んでいるアンプが優秀です。
小さい音でかけても、大きな音量でかけても印象が変わりません。
中のDSPが優秀なのか、2wayである一方でビシッと位相があっています。
しかしながら、スイートスポットも広くよく考えられてます。
サウンドステージが他のSPに比べて明らかに広いです。

強いて弱点を挙げるとすれば、このDSP補正があまりにも優秀すぎるが故に、DSPスピーカー特有の音になっているところでしょうか。その辺は慣れの問題だとも思います。が、音の表現が現代よりなので、昔にリリースされた音源、アコースティックなサウンドについては得意不得意がありそうです。

今回の視聴したスピーカーのなかで一番驚いたスピーカーでした。
レンジが広くどの音域も不足なく鳴っていました特に高音域、中音域の解像度には感動しました。
内臓DSPの恩恵もあって位相のずれも少なく、スピード感の感じられる音でした。
大音量、小音量どちらにおいても不足なくどの帯域ま鳴ってくれるので理想のスピーカーでした。
とても魅力的なスピーカーでした。

このサイズとは思えない音像です。流石に60Hzくらいから下の低域は出ておらず寧ろバッサリ落ちているのですが、その他の音域に関しては解像度、全体感ともに頭一つ抜けているなという印象です。
低域も決して見えないわけではなく、きちんと変化が分かりました。価格含め純粋に欲しいなと思います笑 かなりオールラウンドなサウンドなのですが、完全にフラットかといわれると僕はそう思わず、少し味付けがあるので音源によっては苦手なものもあるなと思います。特に、60年代〜70年代のロックなどの再生は音の傾向的に少し苦手な印象で、この年代のサウンドのミックスはやりづらいかなと思います。
しかし、総合的には完璧に近くミックス、マスタリングどちらでも使える優れたモニターです(どちらかといえばマスタリングに良いと思います)。欲を言うと次のYamaha HS5的な低域の出方を追加でしてくれれば個人的には完璧です。
ウーファー欲しいです。

異次元。
何がどう震えているのか分からないが、ダイナミックレンジ、周波数レンジ、位相特性そのどれもが
自分の記憶通り再生される。
Sonerworks的なフラットにしました臭は多少あるが、
価格帯やサイズを考えるとミックス用途ではこのスピーカー一択ではないか。
現状でここからさらにipadのアプリを使ってスピーカーをチューニングできるし、12月にはマイクセットも発売される。期待しかない。
モニタースピーカーの次の時代の到来を感じた。
GenelecのDSP補正シリーズと共に、このようなDSP補正されたサウンドを知っているか否かが、次世代型のエンジニアになれるかどうかの踏み絵になりそう。

満場一致で高評価なスピーカーでした。
音が実にクリアで音を手に取れるんじゃ無いかと錯覚してしまうほど定位や距離感、音の硬さを感じられます。
低音もしっかりローエンドまで網羅できていてモダンなサウンドの再現度はピカイチなのではないでしょうか。

Yamaha HS5

テンモニの遺伝子を引き継ぎつつ、テンモニではみえなかったところが感じられるように作られているように感じました。不思議と30hzから40hzあたりのローの存在を見渡すことができるようになっています。
突出した特徴はないものの、素直さという意味では実に扱いやすい安心感があります。
ミキサーやプロデューサーの方が持つ最初のスピーカーとしてオススメです。
お値段もペアで3万円とお手頃ですが、他のスピーカーと聴き劣りすることなく、同時にYAMAHAらしさもあり、実に優秀です。

高音域、中音域、低音域とてもバランスよく鳴っている印象でした。
定番機種でコスパも抜群、ベストセラーなのも納得です。
まったく問題なくミキシング作業出来ると思います。
ミキシングエンジニア、作家さんどちらにもオススメ出来ると感じました。

すごく素直な出音です。音の広がりや気持ちよさはないですが、全体のバランス、特に低域の出方が自然で優れていると思います。低域が量的に出ている訳ではないですが、無理がなく自然に聞こえます。中高域は一歩引いたような冷静な音で、悪い言い方をすればしょぼいですが、いい意味ではこれでちゃんと鳴っていれば問題ないと思います。僕がYamahaの音に慣れているせいもありますが、ミックスはやりやすそうだなと思います。細かな粗が見える訳ではないので、マスタリングには少し頑張る必要があるかなと思います。

発売当初は10Mのスタッフが集結して後継機を作った!という触れ込みで試聴をしていたためいい印象が抱いていなかったが、改めてこう並べて聞くととても聴きやすく、 周波数もバッチリ鳴っていて、嫌なローミッドは嫌にしっかり聞こえる。
制作に使えるし、シビアではないがミックスにも使えると思う。
ただ小音量にしていった時に独特のハイエンドのロールオフ感と、トランジェントの弱まりを感じ、音が遠くなっていく印象を受けた。
ホームユースを考えると、大音量で鳴らせる環境がある人向きなのでは。

僕が普段使用しているスピーカーです。
案の定「いつもの音だ」と感じていたのですがしっかり音量を出してみると他のスピーカーに比べとてもスッキリしていますが音像がとてもわかり易いスピーカーだなと再確認しました。
ただ小さい音量の時と大きめに鳴らした時の印象は結構違うとは思います。

値段的に初心者が手を出せる価格帯で初めてのスピーカーとして是非購入をオススメしたいです。

Fostex NF-04R

今回比べた中で最も小口径であるものの、迫力あるサウンドを鳴らしてくれました。
モニターサウンドだと疲れてしまうけれども、小音量でしっかり音は判断したい・・。
そんな方にドンピシャな製品であるように思います。
いわゆる2WAYの音なのですが、コンパクトながら完成度は高いです。
普段、モニタースピーカーで音を聞いている人が、自宅で音の仕上がりを確認するには、まさにうってつけなんじゃないでしょうか。
放送系のポスプロにも良さそうです。

今回のスピーカーの中で一番コンパクトなサイズのスピーカーですが、高音域が多少ナローな印象はあるものの中音域、低音域はこのコンパクトなサイズからは想像できないほど鳴っていました。
大音量でのミックス作業ではスピーカーが無理してしまう印象だったので大音量での作業には向きませんが、小音量でのミックス作業にはとても向いていると感じました。

今回の比較の中では最小のスピーカーですが、音は全然負けてないなと感じました。驚きです。量感では他を上回るほどではないですが、かなり近いところまで出ています。傾向としてはKH80 DSPに似ているものがあります。使いやすさという点では高価格帯のスピーカーよりもこっちの方が良い場合もあると思います。

全く眼中になかったスピーカーだがなかなか聴きやすかった。
小口径ながらロー感もしっかりあり、歌の聞こえも良い。
ただかなり苦手なジャンルがある印象。例えばベースが鳴りっぱなしのEDMなど。
あとギターが激しめのロックなどは勢いが出なかった。
リスニング的に良いスピーカーだなと感じたので、
自宅のコンポなどにつなぐと良いと思う。

Musikelectronics RL906

Musikらしさここにありといった感じでした。
どこの音源がどの奥行きにおいてあるかを点で見ることができる、その意味では唯一のスピーカーであるように感じます。中域から高域にかけて抜群の解像度の良さがある一方で、Muddyな音源に気付きにくいところもありました。こちらも小音量でミックスをしたい方にはバッチリだと思います。
同軸全般に言える話ではありますが、ハード面で位相が整っている分、スピーカーの設置は追い込む必要がありそうです。

とてもレンジが広く、空間は今回のスピーカーの中では一番広く感じられました。このスピーカーは大音量での作業だと疲れてしまう印象でした。
高音域、中音域は抜群に鳴るのですが、自分は少し苦手な印象でした。
セッティングやケーブルなどで追い込めば印象変わりそうです。

かなり音源とリスニングスポットを選びますが、はまればかなり良い音で鳴ってくれます。価格を考えると少し用途が限定されすぎている感じがありますが、逆にそれだけシビアなモニターだと言えると思います。J-Rockとの相性は良いのかなと思います。

周波数レンジもよく、位相も良い、ダイナミックレンジは少し弱いが、全体的にできの良いスピーカーである。
しかし何か印象に残らない。良くも悪くも癖がないスピーカー。
アコースティックで小編成なものは見えやすいが時代性のあるEDMには対応していない。

総評

それぞれがそれぞれ、得意不得意があるな、という印象でした。
完璧なスピーカーは存在しないので、どのジャンルで何をしていきたいかで選ぶものは変わってくるように思います。


アレンジが得意そうなのは
Genelec 8030
Yamaha HS5
Focal Shape 50
Fostex NF-04R
IK multimedia iLound MTM
Musikelectronics RL906

レコーディングが得意そうなのは
Genelec 8030
Yamaha HS5
Focal Shape 50

ミックスが得意そうなのは
KS-digital C5
Phonon ML-2
Musikelectronics RL906
Neumann KH80 DSP
Yamaha HS5

マスタリングが得意そうなのは
IK multimedia iLound MTM
Neumann KH80 DSP

といった分類なのかな、と感じました。

中でも特に印象に残ったのはNeumann KH80 DSPです。
最近はKii audio Kii ThreeやDutch&Dutch8cのようにコンパクトだけれども、ラージのような音のスピーカーがハイエンド系の中では流行っているようです。
その文脈の中にNeumann KH80は確かに存在しているように感じます。

手に取れる価格帯、コンパクトなサイズでありながら、系統としてはラージを感じる。一つのブレイクスルーを経験できたような気がします。

こんなにたくさんの機種を同時に比較視聴ができる場を提供してくださったRock ONさまに感謝しつつ・・
改めて、モニタースピーカーの進化に唸らされる1日となりました。

自分はミキシングエンジニアなのでこの中から仕事で使うスピーカーを一つ選ぶのであれば、KH80 DSP一択です。
音質、スピーカーサイズ、価格、対応できるジャンルの多彩さ、の面で自分には理想のスピーカーでした。
現在自分の第一購入候補です。

個々の得意分野があり様々分かれていた印象ですが、KH80 DSPが一番使い道が広く使いやすいと思いました。それ以外ならミックス用途としてKS-digital C5かHS5が欲しいです。

各社「買う理由」を作るためにスピーカーの個性を作っているのだなと感じました。
恐らく技術的にどの会社も時間と予算をかければフルフラットなスピーカーは作れるのだと思います。
しかしその中で買ってもらう理由づけをするためにあえてミドルが強い、リスニングに良い、 あえてシビアでない周波数を残すなどしてキャラ付けをして、制作向き、ミックス向き、マスタリング向きと明確にマーケティング先を分けていると感じました。
なので、ご自身でスピーカーを試聴される際は、自分が何のためにモニタースピーカーを買うのかを考えて、それに対応した試聴法をとっていただくのが確実だと思います。
例えば作曲家の方はいつものギターを持ち込んで、弾いた音をモニタリングしてみる。ミキサーならセッションを持ち込んで、エフェクトや音量での変化を聴いてみるなど。

DSP補正スピーカーはこれから技術力の向上によってもっと安価に普及していくでしょうし、フルフラット方向のモデルが現場に普及し尽くしたら、多様なモニタースピーカーが発売される時代は落ち着くのかなと思います。

なので、今後は思いっきりナローレンジだけど異常にダイナミクスレンジはある。とか個性の時代に突入したら面白いなと妄想します。
個人的に導入するならKH80 DSP一択です。

全くノーマークだったKH80 DSPが圧倒的でした。
僕自身もとても魅力的に感じましたが、各自で好みのサウンドを持っているエンジニアさんも揃っての高評価、、これは間違いないスピーカーではないでしょうか?
これからオーディオを機器を評価するときの基準が”KH80 DSP”になってしまいました。
また今回はモニタリング環境を見直したいと悩んでいたところエンジニアさん方にお誘い頂き参加させていただきました。
エンジニアと作曲者ではスピーカーの重視する点が違うが故エンジニア目線の意見を聞ける素敵な機会でした、ありがとうございました!

なかなか辛口なコメントも飛び出し、スリリングな企画となりました汗
しかしながら、モニタースピーカーは音楽制作の人間にとって命綱なので、シビアな判断が求められるところだとも思います。

今回の企画をやってみて・・・
話し合いながら試聴をしていたからか、かなり意見が似てしまっている印象はあります笑
ただ、その中でも人によって意見が別れる場所、感じ方が違うのは面白く感じました。

各メーカー素晴らしい製品をそれぞれの哲学でつくっています。
様々な特徴を持ったスピーカーたちを比較してみると、単純な良し悪しではなく、何をしたいか?を明確にすることこそが、自分にあったスピーカー選びのヒケツであるように感じました。
ですから、僕らの評価と真逆の評価がなければおかしいですし、もしそうであったとするのならば、ご自身の判断を何よりも尊重するべきです。

その上で、次のモニタースピーカーの未来、そして、制作スタイルが垣間見えるいい機会になったと個人的には考えています。

以前はできなかったことが技術革新によってできるようになってきます。
今後のキーワードは「Portability」になってくるのではないか・・・
そんな予兆を感じさせる会となりました。
どこでもシリアスな音楽制作をしていけるようになるのは、歓迎すべき未来だと僕は思います。

今回、ありえない数のSPの試聴に快く応じてくださった、Rock ONの森さま。
素晴らしいスピーカーを制作してくださったメーカーのみなさま。
そして気さくに誘ってくれた友人S氏に感謝をいたします。

引き続き、不定期でstudio MASSではイベント、研究会を開催していく予定です。

次回企画もお楽しみに!!