目次
マスタリングをする前に!!
-必ず守って欲しい二つのポイント-
・必ず3日は空けましょう!
というのも、自分で作った曲やMIXをマスタリングするとなるとどうしても客観性にかけてしまいます。
もしかしたら自分のMIXが篭っていたり、ハイやローが強すぎたりするかもしれません。
製作段階から立ち会ったものは、2MIXが出来上がった後は時間をおきましょう。
・2mixは作法を守って書き出しましょう!
こちらの記事で解説しているお作法を守って書き出しましょう!
特にリミッターの有無で仕上がりは大きく変わります。
是非参考にして見てください。
まずは信号の流れを見てみよう!
-最もシンプルなマスタリングチェーン-
よし、マスタリングを開始するぞ!!
といっても、どういう順番で何を設定していいかわからないかと思います。
そこで、一番簡単でシンプルな設定を提案してみます。
音量調整
↓
EQ
↓
Compressor
↓
Limitter
沢山エフェクターをかけてみる前に、
まずはシンプルイズベストでやってみましょう。
音量調整
-アナログ感を足そう!-
ここでは、クリーンなゲイン調整でも良いんですが、せっかくなので、アナログ感を足していきましょう。
0dbを超えないように、音量を上げることを目的として、アナログモデリングのコンプレッサーを使って見るのが面白いと思います。
(SlateDigitalのVirtual Buss Compressor)
ここは、リダクション目的ではないので、ゲインリダクションは0dbから-1db程度までで設定してみてください。
EQの考え方・EQのコツ
-マスタリングの超重要ポイント-
僕は、EQこそマスタリングのキモだと思っています。
なので、ここはボリュームを割いてお伝えいたします!
EQの考え方、聴き方のコツ。
それは、
Aと比べてBをより○○にしたい! という目的をはっきりさせることです。
実際良く使う例としては
エレキギターと比べて ボーカルが少し暗いから 明るくしたい
→2.2khzを少し下げて、3.2khzを上げる
みたいな感じです。
周波数ポイントを決めるときには、
こんな感じで、Qを狭くしてゲインをがっつり上げて、ポイントを探します。
調整したいパートが一番引っかかるポイントを見つけて、
Q→ゲインの順番で調整をしていきます。
パートを一つだけ聴くのではなくて、基準になるパートと比べて調整するのが良いEQをする秘訣です。
これがEQの基本的な考え方です。
ロックバンドの編成を例にして、表を書いてみました。
僕は、こういったマニュアルは嫌いです。
でも、全部1からというのは難しいと思いますので、目安にしてみてください
60hz | バスドラムの迫力感 |
100hz | ベースの存在感 |
150hz | バスドラムとベースの絡み |
250hz~350hz | ギターとベースの絡み ボーカルの迫力感 |
1khz | 男性ボーカル・スネアの音量感 |
2khz | 女性ボーカルの音量感 男性ボーカルの明るさ エレキギターのアタック感 |
3khz | 女性ボーカルの明るさ |
5khz | 曲全体のラウド感シンセサイザーの存在感 |
8khz~10khz | 曲全体のキラキラ感 |
15khz~30khz | 曲のみずみずしさ、癒し感 |
EQの種類
-ざっくりEQと精密EQ-
大まかに分けて、EQは2種類あります。
ざっくりEQと、精密EQです。
ざっくりEQ
ざっくりEQでは、大まかな音源の音を決めてしまいます。
現代では高価なマスタリングEQのモデリングが各社から出ています。
まだまだ滑らかさではアナログには勝てない部分がありますが、十分に使えるものが多いです。
(Plugin AllianceのPassEQ)
ブーストすることを考えると、アナログモデリングがいいと思います。
ここでは、先ほどのEQのコツを参考にしていただき、パートの調整をしていきます。
また、大まかな低域、高域もここで調整していきます。
(UADのPultecモデリング。よく出来てます。)
精密EQ
ざっくりEQで作った音に対して、さらに微調整を加えていきます。
基本は出っ張りすぎた音を探します。
Qを狭めでゲインを上げて、Freqencyをスイープしていくと、耳が痛いポイントがいくつかあると思います。
そこのポイントを調整していくことで、楽曲を聴きやすくトリートメントしていきます。
(発売して以来、長いこと愛用しているbx_digital v2。精密EQに必要なモノが全て詰まっています。)
コンプレッサーの使い方
-グルーヴをコントロールしよう!-
コンプレッサーの仕組みについては沢山解説しているサイトがあるので、ここでは割愛します。
(思った以上にサウンドハウスさんのマニュアルが分かりやすかったです。
https://www.soundhouse.co.jp/download/sonota/comp.pdf)
ここではマスタリングでグルーヴをコントロールするためのコンプレッサーのコツについてお伝えします。
この段階では、音量調整の段階と違い、できるだけ味付けの無いクリーンなコンプレッサーを使います。
(FabFilter社のPro-Cです。クリーンで非常に多機能です。)
多分、DAW付属のものでも問題ないと思います。
マスタリングでは、
基本はSoft Knee
Retioは1.2から2.0ぐらいまでで使うことが多いです。
-1dbから-3dbをリダクションするようにスレッショルドを下げて
AttackとReleaseを調整していきます。
で、ここが大事なポイントですが、AttackとReleaseは同時操作が基本です。
Attackを上げるなら、Releaseを下げます。
Releaseを上げるなら、Attackを下げます。
ちょうど、逆のパラメーターになるようにして気持ちが良いポイントを探ります。
よく、プラグインのコンプレッサーが上手く設定が決まらないという話をききますが、
それはきっと、同時操作ができないからだと思います。
MIDIコントローラーがあれば簡単にできるので、是非試してみてください!
気持ちが良いポイントが見つかったら、
Attackを微調整して、その後Releaseを調整していきます。
リミッターの使い方
-音圧とプラグインの限界-
さて、この講座もいよいよ終わりに差し掛かってきました。
最後の工程として、リミッターをかけます。
工程としては最後なのですが、僕の場合、マスタリングをする前にキャラクターが合うリミッターを予め刺しておいてマスタリングすることが多いです。
情報を見ることが出来るメーター系のプラグインとあわせて利用するのが良いと思います。
(fabfilter社のPro-L。愛用しています。)
さて、この段階で、どのぐらい音量を上げるかを決めていきますが、2点ほどポイントがあります。
2db以上は1つのプラグインでつぶさない。
最近のリミッターはよくできているのですが、それでもデジタルである以上、やっぱり限界があります。だいたい、ここまでは踏ん張れるというような数値が2db前後であるように感じます。
1つのリミッターで足りない場合は、2つ 3つと分けて刺して行きましょう。
RMS-10dbをひとつの基準にする
プラグインだけでのマスタリングの場合、RMS-10db以上を目指していくと、どうしても音がのっぺりしてしまい、奥行きが犠牲になってしまいがちです。
J-POPやアイドルソングに比べると音が小さく感じるかもしれませんが、それらのCDは音の輪郭を保ちつつ音圧を上げるために1流の技術と機械が使われています。
音圧はジャンルを表現する手段の一つというだけで、音圧を高くするために元々の音が崩れてしまっては本末転倒です。
ひとつの目安としてRMS-10db程度にとどめるのが良い結果につながります。