DTMマスタリングのコツ -プラグインで簡単マスタリング講座-

ここでは、クリエイターの皆さんや、アーティストの皆さんが自宅でマスタリングをするときに必要な知識をお伝えできればと思います。

デモを作るときや、コンペに曲を出す時など、お役に立てれば幸いです。

Ozone8から考えるマスタリング用リミッターの選びかた

久しぶりの投稿になってしまいました。
おおよそ、2年ぶりでしょうか。
ただ、この2年間ボーっとしていたわけではなくて、
配信世代の音楽制作プラットフォームのPHLUXXの立ち上げに奔走したり……。

Starling Soundに教えを乞いにいったり……。

とそれなりに忙しく過ごしていたのでした。
あ、もちろんマスタリングも日常的にやっていて、着実にスキルアップをしていますよ笑

さて、僕の近況はどうでもいいとして。

Twitterをみていると結構リミッターに皆さんの関心が向けられているのを感じるので、リミッターの選びかたとその考え方についてポストをしておきたいと思います。

リミッターに何を期待しているの?

リミッターが自分の製作スタイルに合う合わないの判断は結局のところ、
「リミッターに何を期待しているか?」に尽きるように思います。
なので、ここでは良くも悪くもリミッターが及ぼす影響について、どんな要素があるのかを考えていきましょう。

「あの有名人が使っていたから!」
「あの人がイイといっていたから!」
というのは、あながち間違いにたどり着きにくかったりはします。
が、それだと自分にとっての正解をいつまでも選べません笑

でも、最初はみんなそうだし、基準なんてあってないようなものです。
なので、ちょっと整理して考えてみるのにはいい機会なのかな、なんて思いこれを書いています。

リミッターを選ぶときに考える3つの要素。

リミッター自体の音質の変化

リミッターには、無色透明なものもあれば、そもそもリミッターを挿した時点でそのリミッターの音になるタイプのものも存在しています。ソフトウェアのクセという部分でしょうかね。
難しい話を抜きしていうなら、
L2だとか、OzoneのVintage Limiterなんかは色付けのカテゴリです。

リミッターがかかっているときの音質の変化

リミッターはただピークを潰すだけではなくて、リミッティングがかかったときにどうやって処理をするかで、音に影響を与えます。ここが透明であればあるほどいいという考えかたと、味付けがある方がいいという考え方、両方あります。

透明さでいえば、HOFA IQ-LimiterやFlux Pure Limiterが特徴的かなと。

機能性、使いやすさ

リミッターとひとえにいっても、色々な種類や操作性を持っているものが存在しています。
ただ、スレッショルドを下げるだけのお手軽なものから、TP機能をもっていたり、詳細にリミッターの効き方を調整できるものまで振れ幅が激しかったりします。

見やすさなら、FabFilterのPro-L、機能性ならTDR Limiter6GEは調整幅が非常に広いですね。

で、この3つの要素の中で、自分の中で何をリミッターに期待しているかをはっきりとさせることが、正解を選ぶ近道になるように感じているわけです。

リミッター前の味付けをどういうモノでするのか。
あるいは、リミッターそのもので味付けをしたいのか。

一度、自分の中で何を求めているのかをはっきりさせておくことで、リミッター以外のことに集中することができるようになるはずです。

僕のリミッターの好みと考え方について

リミッターには明確にキャラクターを求めます。
なので、リミッター自体の音質の変化は歓迎する人です。
ちょっとしたことではあるんですけど、コンピレーションアルバムを仕上げるときなんかは、結構リミッターのキャラクターがあると有難かったりするんですよね。

リミッターがかかっている音質の変化はある程度歪み感がある方が好きです。
クリアにリミッティングすることの良さはわかった上で、音圧を入れる場合は歪感がある程度ないと難しいように感じています。そもそも、リミッターにそんなに突っ込むことは無いんですけど、歪みで受け止めてあげることで、耳ざわりが優しいほうが聞きやすいかなと。

機能性、見やすさについては、シンプルなものが好みです。
これは、リミッターに対してそこまで細かくカスタマイズしてのぞむよりも、マスタリング時はEQに集中したいからです。なので、見た目上はシンプルですぐに使えるものが好きです。
また、機能性についてはTP機能(トゥルーピーク)が必須です。これがないものはその時点で選択肢から外れます。
TP機能が無いと、フォーマットの多様化に対応できないからです。もちろん、実際にTPをONにするかどうかは、音楽を聞いての判断にはなりますけどね。

OZONE8の僕なりの評価

僕がTwitterでOzone8難しいなぁとつぶやいた理由は、Ozone7のときに感じていたメリットが消えてしまったように感じたからです。


詳細を言うと、
リミッターのキャラクターは硬い方向に変化して
歪み感がなくなり、キレイにリミッティングをしてくれるようになりました。
機能性は調整幅が増えて、TP機能は大幅に強化されよりクッキリハッキリ方面になったように思います。

僕の好みとは真逆の方向に進化した印象ではありますが笑
進んでいる方向性が違うだけで、確実にソフトウェアとしての完成度は上がっているように感じます。

なので、
・固めのキャラクターが好き
・歪み感はいらない
・なめらかなTP機能を使いたい
そんな方にはドンピシャなんじゃないかと。
ジャンル的に言えば、EDMだとかエレクトロは相性良さそうな気がします。
が、それも前段の音作り次第かもしれませんね。

OZONE8はAIマスタリング機能なども搭載されて、言いたいことはたくさんあるのですが、今回はリミッターに限ってお話をしてみました。

「むむ、こういう好みだったらこれ試してないのはおかしいんじゃないの!?」
的なレコメンドがあれば、是非教えていただきたいです笑

コメントでもTwitterでも気軽に絡んでくださいね!
ではでは。

4ステップで出来る!DTMプラグインマスタリング講座

マスタリングをする前に!!
-必ず守って欲しい二つのポイント-

・必ず3日は空けましょう!
というのも、自分で作った曲やMIXをマスタリングするとなるとどうしても客観性にかけてしまいます。
もしかしたら自分のMIXが篭っていたり、ハイやローが強すぎたりするかもしれません。
製作段階から立ち会ったものは、2MIXが出来上がった後は時間をおきましょう。

 

・2mixは作法を守って書き出しましょう!
こちらの記事で解説しているお作法を守って書き出しましょう!
特にリミッターの有無で仕上がりは大きく変わります。
是非参考にして見てください。

まずは信号の流れを見てみよう!
-最もシンプルなマスタリングチェーン-

よし、マスタリングを開始するぞ!!

といっても、どういう順番で何を設定していいかわからないかと思います。

そこで、一番簡単でシンプルな設定を提案してみます。

 

音量調整
EQ
Compressor
Limitter

沢山エフェクターをかけてみる前に、

まずはシンプルイズベストでやってみましょう。

音量調整
-アナログ感を足そう!-

ここでは、クリーンなゲイン調整でも良いんですが、せっかくなので、アナログ感を足していきましょう。

0dbを超えないように、音量を上げることを目的として、アナログモデリングのコンプレッサーを使って見るのが面白いと思います。

vbc

(SlateDigitalのVirtual Buss Compressor)

ここは、リダクション目的ではないので、ゲインリダクションは0dbから-1db程度までで設定してみてください。

 

EQの考え方・EQのコツ
-マスタリングの超重要ポイント-

僕は、EQこそマスタリングのキモだと思っています。

なので、ここはボリュームを割いてお伝えいたします!
EQの考え方、聴き方のコツ。

それは、

Aと比べてBをより○○にしたい! という目的をはっきりさせることです

 

実際良く使う例としては

エレキギターと比べて ボーカルが少し暗いから 明るくしたい

→2.2khzを少し下げて、3.2khzを上げる

みたいな感じです。

 

周波数ポイントを決めるときには、

こんな感じで、Qを狭くしてゲインをがっつり上げて、ポイントを探します。

eq04narrowpeak

調整したいパートが一番引っかかるポイントを見つけて、

Q→ゲインの順番で調整をしていきます。

パートを一つだけ聴くのではなくて、基準になるパートと比べて調整するのが良いEQをする秘訣です。

これがEQの基本的な考え方です。

 

ロックバンドの編成を例にして、表を書いてみました。
僕は、こういったマニュアルは嫌いです。

でも、全部1からというのは難しいと思いますので、目安にしてみてください

60hz バスドラムの迫力感
100hz ベースの存在感
150hz バスドラムとベースの絡み
250hz~350hz ギターとベースの絡み
ボーカルの迫力感
1khz 男性ボーカル・スネアの音量感
2khz 女性ボーカルの音量感
男性ボーカルの明るさ
エレキギターのアタック感
3khz 女性ボーカルの明るさ
5khz 曲全体のラウド感シンセサイザーの存在感
8khz~10khz 曲全体のキラキラ感
15khz~30khz 曲のみずみずしさ、癒し感

 

EQの種類
-ざっくりEQと精密EQ-

大まかに分けて、EQは2種類あります。

ざっくりEQと、精密EQです。

 

ざっくりEQ

ざっくりEQでは、大まかな音源の音を決めてしまいます。

現代では高価なマスタリングEQのモデリングが各社から出ています。
まだまだ滑らかさではアナログには勝てない部分がありますが、十分に使えるものが多いです。

passeq_large

(Plugin AllianceのPassEQ)

ブーストすることを考えると、アナログモデリングがいいと思います。

ここでは、先ほどのEQのコツを参考にしていただき、パートの調整をしていきます。

また、大まかな低域、高域もここで調整していきます。

 

pultec_pro_hq
(UADのPultecモデリング。よく出来てます。)

 

精密EQ

ざっくりEQで作った音に対して、さらに微調整を加えていきます。

基本は出っ張りすぎた音を探します。

Qを狭めでゲインを上げて、Freqencyをスイープしていくと、耳が痛いポイントがいくつかあると思います。

そこのポイントを調整していくことで、楽曲を聴きやすくトリートメントしていきます。

screenshot_bx_digital_v2
(発売して以来、長いこと愛用しているbx_digital v2。精密EQに必要なモノが全て詰まっています。)

 

コンプレッサーの使い方
-グルーヴをコントロールしよう!-

コンプレッサーの仕組みについては沢山解説しているサイトがあるので、ここでは割愛します。

(思った以上にサウンドハウスさんのマニュアルが分かりやすかったです。
https://www.soundhouse.co.jp/download/sonota/comp.pdf

 

ここではマスタリングでグルーヴをコントロールするためのコンプレッサーのコツについてお伝えします。

この段階では、音量調整の段階と違い、できるだけ味付けの無いクリーンなコンプレッサーを使います。

pro-c_flat_300

(FabFilter社のPro-Cです。クリーンで非常に多機能です。)

多分、DAW付属のものでも問題ないと思います。

 

マスタリングでは、
基本はSoft Knee
Retioは1.2から2.0ぐらいまでで使うことが多いです。
-1dbから-3dbをリダクションするようにスレッショルドを下げて

AttackとReleaseを調整していきます。

 

で、ここが大事なポイントですが、AttackとReleaseは同時操作が基本です。

Attackを上げるなら、Releaseを下げます。

Releaseを上げるなら、Attackを下げます。

ちょうど、逆のパラメーターになるようにして気持ちが良いポイントを探ります。
よく、プラグインのコンプレッサーが上手く設定が決まらないという話をききますが、
それはきっと、同時操作ができないからだと思います。
MIDIコントローラーがあれば簡単にできるので、是非試してみてください!

気持ちが良いポイントが見つかったら、

Attackを微調整して、その後Releaseを調整していきます。

リミッターの使い方
-音圧とプラグインの限界-

さて、この講座もいよいよ終わりに差し掛かってきました。

最後の工程として、リミッターをかけます。

 

工程としては最後なのですが、僕の場合、マスタリングをする前にキャラクターが合うリミッターを予め刺しておいてマスタリングすることが多いです。
情報を見ることが出来るメーター系のプラグインとあわせて利用するのが良いと思います。

pro-l_flat_300
(fabfilter社のPro-L。愛用しています。)

さて、この段階で、どのぐらい音量を上げるかを決めていきますが、2点ほどポイントがあります。

 

2db以上は1つのプラグインでつぶさない。

最近のリミッターはよくできているのですが、それでもデジタルである以上、やっぱり限界があります。だいたい、ここまでは踏ん張れるというような数値が2db前後であるように感じます。

1つのリミッターで足りない場合は、2つ 3つと分けて刺して行きましょう。

 

RMS-10dbをひとつの基準にする

プラグインだけでのマスタリングの場合、RMS-10db以上を目指していくと、どうしても音がのっぺりしてしまい、奥行きが犠牲になってしまいがちです。

J-POPやアイドルソングに比べると音が小さく感じるかもしれませんが、それらのCDは音の輪郭を保ちつつ音圧を上げるために1流の技術と機械が使われています。

音圧はジャンルを表現する手段の一つというだけで、音圧を高くするために元々の音が崩れてしまっては本末転倒です。
ひとつの目安としてRMS-10db程度にとどめるのが良い結果につながります。